アンパンマンのうさぎ

世の中の先輩に教えてほしいこと 文化構想学部

行動に名前がつくということ



なんとなく気付いていたことでも、言葉にすると事態が変わる。良い例が「セクシュアルハラスメント」だ。この言葉が英語で初めて使われたのは、オクスフォード英語辞典によると1971年だ。

しかしながら、古い記事でも現代語のキーワードで検索できる読売新聞データベース「ヨミダス歴史館」を使って「セクハラ」を検索すると、一番古い記事では1878年1月23日に、夫の上司から性的嫌がらせをされて困っている妻の話が出てくる。現代語のセクハラに相当することで困っている人は昔からいたが、一語でその現象を指せるようになったおかげで、そうした行為には問題があると知られるようになった。
出典 男たちはなぜ「上から目線の説教癖」を指摘されるとうろたえるのか(北村 紗衣) | 現代新書 | 講談社(2/4)








「マンスプレイニング」(mansplaining)という言葉をご存じだろうか。「マン」(man、「男性」)+「エクスプレイン」(explain、「説明する」) を縮めて動詞「マンスプレイン」(mansplain)、その動名詞が「マンスプレイニング」だ。
出典 男たちはなぜ「上から目線の説教癖」を指摘されるとうろたえるのか(北村 紗衣) | 現代新書 | 講談社(1/4)


相手の女性が既に知っていたり、説明してもらう必要がないと思っていたりするのに、男性が偉そうに説明をするのが「マンスプレイニング」だ。とくに女性の健康とか、性差別とか、女性のほうがよく知っている可能性が高そうなことについて上から目線で男性が話す時や、相手が専門的知識を持っているのに自分の知識を無意識にひけらかそうとして話す際によくこの言葉が使われる。
出典 男たちはなぜ「上から目線の説教癖」を指摘されるとうろたえるのか(北村 紗衣) | 現代新書 | 講談社(1/4)


男性中心的な社会では、男性のほうが力を持ちやすく、そのせいで自分は不作法に振る舞っても許されると勘違いしてしまうこともある。また、礼儀正しい男性でも、他の男性が女性と話す時に男同士の時よりも偉そうだったり、不作法だったりするのに気付かなかったり、気付いてもなんとなく許容してしまうこともあると思う。「マンスプレイニング」というのは、そういう状況を考え直すための言葉だ。

「マンスプレイニング」という言葉に対する好き嫌いは人によって違って当然だし、自分は使いたくないという人ももちろんいるだろう。ただ、この言葉がどういうところから出てきたのか、どういう機能を果たしているのかについて考えるのは、この言葉を受け入れるかどうかとは別にして、とても役立つ。
出典 男たちはなぜ「上から目線の説教癖」を指摘されるとうろたえるのか(北村 紗衣) | 現代新書 | 講談社(1/4)



「それ、気にしすぎだよ」男性が女性の訴えに口をはさむ前に考えたいこと